【第45回】地役権とは?不動産売買への影響と注意点(福山市編)

 


地役権とは


地役権とは、他人の土地(承役地)を自分の土地(要役地)のために利用する権利のことです。
たとえば、自分の土地が道路に接していない場合に、隣地を通らせてもらう通行地役権が代表的な例です。
地役権は法務局に登記することで第三者にも対抗でき、不動産売買や利用に大きな影響を与えます。

 

主な種類


通行地役権:道路までの通路として他人の土地を通行する権利

引水地役権:他人の土地を通して水を引く権利

排水地役権:自分の土地の排水を他人の土地に流す権利

眺望地役権:建物の高さ制限を求める権利(景観確保)

 

メリット


土地利用の幅が広がる:接道していない土地でも利用可能になる

売買価値の向上:通行権確保により利用制限が減る

将来的なトラブル回避:権利関係が明確になり、口約束のトラブルを防げる

 

デメリット


承役地の価値低下:土地の自由利用が制限されるため、売却時に価格が下がる場合がある

トラブルの可能性:通行方法や時間帯を巡って近隣と揉めるケースがある

変更や消滅が難しい:一度設定すると双方の合意や裁判が必要になる場合がある

 

福山市での事例


路地奥の住宅が、公道に出るため隣地に通行地役権を設定

山林所有者が農業用水を確保するため、隣接地に引水地役権を設定

古くからの通路利用が口約束のみだったため、売買時に登記を行い権利を明確化

 

注意点と対策


契約内容を明確化:通行幅員・利用時間・維持管理責任を契約書に明記

登記を必ず行う:第三者への対抗力を持たせるため、法務局で登記

売買時は事前確認:買主に不利益がないかを調査し、重要事項説明に記載

 

まとめ


地役権は土地利用を可能にする便利な権利ですが、設定される側には制限が生じます。
福山市で土地を購入・売却する際は、地役権の有無と内容をしっかり確認し、将来的なトラブルを防ぎましょう。